デジタルカメラ:テーマコードの選定
お待たせしました。
それでは「デジタルカメラ」の分野についてのパテントマップの使い方の説明を
はじめさせて頂きたいと思います。
まずは、これからデジタルカメラに関してのパテントマップを見て行くに際し、調査するテーマコードを選定したいと思います。
デジタルカメラに関する先行例を調査する場合、皆さんはどのように調査されますか?
色々な方法があると思いますが、その中でも最も良くあるものは「発明の名称」等に「カメラ」又は「撮」を含むというものだと思います。
発明の名称ではなく、明細書全文や要約をターゲットにして調査する方法もありますが、今回は検索漏れを減らす目的で調査するのではなく、検索ノイズを減らすことの方が重要なので、発明の名称で絞り込んでみようと思います。
この場合、調査期間が長くてもあまり意味が無いので、調査期間は2011年10月の1月間だけとします。
これを踏まえ、下記に、12月サービス開始予定のアイデアグラフオーダーメイドで作成したパテントマップを下記に掲載します。(図をクリックすると拡大します)
この図を見ると、明らかに「5C122」スタジオ装置を含んだ明細書の数が多いですね。
そこで、特許庁のパテントマップガイダンスでこのFターム「5C122」を調べてみます。
すると、
FA撮影手法
FB光学要素/光学系
FC撮像素子(含。撮像管)
FD焦点調節
など、カメラに関する用語が頻出していることが確認できます。
この様に調査を行うことで、この「5C122」は、おそらくデジタルカメラに関するテーマコードとして運用されているのだな、と推測することができます。
次に、2番目にランキングされている[5C024]光信号から電気信号への変換について調べてみましょう。
テーマコード「5C024」を、同じく特許庁のパテントマップガイダンスで調べてみると、此方も
AA撮像
AX撮像対象
DA映像信号の種別
DX映像信号の種類
EX撮像素子,光学系及びその周辺構成
など、カメラに関する用語が頻出していることが確認できます。
しかし、5C122のスタジオ装置と比較すると、少なくともカメラ全体に関する用語ではなく、あくまで信号の変換に関するテーマコードなのだろうな、と推測することができます。また、このテーマコードは、参考図書に
(a)画像入力技術ハンドブック 木内雄二編 日刊工業新聞社
(b)固体撮像デバイス 木内雄二,長谷川伸監修 昭晃堂
(c)イメージセンサの基礎と応用 木内雄二著 日刊工業新聞社
(d)光工学技術ハンドブック 久保田広ほか編集 朝倉書店
(e)テレビジョン工学ハンドブック テレビジョン学会編 オーム社
を挙げていることから、カメラのみならずテレビも対象にしているのだな、ということまで推測することができます。
1つの明細書には1つのテーマコードではなく、複数のテーマコードが付与されることが多いです。
つまり、例えばデジタルカメラに関する出願の場合、おそらくは5C122というテーマコードを付与すると共に、別途その発明の特徴を示しているテーマコードを付与しているのだろうと推測することができます。
そして、実際に各明細書を見ていくと、おおよそその通りであることが確認できると思います。
この推測を基に検証すると、デジタルカメラの出願の中で、簡単に今トレンドとなっている分野を確認することが出来るとも言えるのではないでしょうか。
つまり、2位以下のテーマコードの順番が、そのままトレンドのランキングになっていると推測することが出来ると言えるものと思われます。
光信号から電気信号への変換の分野や、固体撮像素子の分野は、現在激戦区となっているということです。
逆に言えば、[5B047]イメージ入力や、[5B050]イメージ処理・作成といった分野は競争が少ないので、このグラフだけで一概に断言することは出来ないにしろ、比較的権利化しやすい可能性があります。
このように、1枚のパテントマップを見るだけで、数多くの事実が解り、そこから各種の推測を繰り広げて行くことが可能となります。
|